KPI(重要業績評価指標)とは?設定方法とKSFやKGIの関係を解説

今月は売上目標が未達成だった。来月はどうすればいい?こうした課題に直面したとき、精神論や根性論で解決しようとしていませんか? 現代のビジネスにおいて感覚的な判断はリスクでしかありません。
そこで必要になるのが、目標達成へのプロセスを可視化し、取るべき行動を明確にするモノサシ、KPI(重要業績評価指標)です。 KPIは単なる数字の羅列ではなく、組織全体の動きを最適化し、目標達成へと導くための羅針盤です。しかし目標はあるが、日々の行動が本当に繋がっているのか分からないという悩みを抱える人は少なくありません。
この記事ではKPIの基本的な定義から、最終目標であるKGI、そして成功の鍵となるKSFとのロジカルな関係性、さらには失敗しないKPIの設定手順まで解説します。
目次
KPIとKGI・KSFの関係性

KPI(Key Performance Indicator)は、最終目標(KGI)を達成するための中間的なプロセスが適切に実行されているかを評価する指標です。 KPIは、組織や個人が日々取るべき具体的な行動目標に落とし込まれるため、目標達成に向けた進捗を客観的に管理し、施策の有効性を判断する上で不可欠なツールとなります。
KGI、KSF、KPIの三者を適切に連動させることが、現代のビジネス戦略の基本です。
KPI・KGI・KSFの役割
目標管理を行う上でKPI、KGI、KSFという三つの言葉は切っても切れない関係にあります。これらはしばしば混同されがちですが、それぞれが明確に異なる役割を持っています。
これらは、どこに向かうか(KGI)どうすればそこにたどり着くか(KSF)正しく進んでいるか(KPI)という、ビジネスにおける意思決定の三本柱を構成していると考えると理解しやすいでしょう。
KPI(重要業績評価指標)の特徴
KPIはKey Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標と訳されます。 その役割は、KGIという最終目標に到達するまでのプロセスの中で、特に重要度の高い中間指標を測定することです。
たとえば、KGIが売上1億円達成だとしたら、KPIはWebサイトへの」訪問者数」「資料請求件数」「商談化率」といった、日々の行動や施策の結果に直結する数値になります。 KPIを設定することで、抽象的な目標が今週中に〇〇件の顧客訪問といった具体的な行動目標に変わり、チームや個人のモチベーション維持にも大きく貢献します。
KGI(重要目標達成指標)は最終的なゴールを示す
KGIはKey Goal Indicatorの略で重要目標達成指標を意味します。 これは企業や事業が最も最終的に達成したいゴールを示す、たった一つの指標です。KGIは必ず利益売上市場シェアなど、財務や事業の成果に直結する数値が設定されます。
KGIが曖昧だと、KPIを設定しても船の目的地が定まらない状態になってしまいます。 KGIはすべての経営活動の錨であり、ここがブレると、その下のKPIもすべて意味を失うという認識が必要です。
KSF(重要成功要因)は達成のための鍵となる要素
KSFはKey Success Factorの略で重要成功要因を意味します。これは、KGIを達成するために何に注力すべきか成功のためにはどの要素が不可欠かを特定したものです。
例えば、KGIが新規顧客数を前年比20%増だった場合、KSFは競合他社にはない圧倒的な製品レビュー数や見込み客からの問い合わせに対する初動の速さといった、勝敗を分ける決定的な要素になります。
KPIはこのKSFが適切に実行されているかを測定するために設定されるため、KSFの特定こそが、KPI設定において最も重要な第一歩となります。
KPIツリー構築

KPIツリー(ロジックツリー)はKGIを頂点に置き、それを達成するためのKSFとさらにそれを測定・達成するためのKPIを階層的に分解し、すべてを論理的に連動させるフレームワークです。このツリーを作成することで、現場のメンバーはなぜこの行動が必要なのかを明確に理解でき、目標達成への貢献度を可視化できます。
まさにKGI達成への最短ルートを示す設計図です。
KGIからKPIを逆算
KPIツリーを構築する際はまずKGIという山頂を定め、そこから登山ルートであるKPIを逆算して分解していくプロセスを取ります。 このロジカルな分解作業こそが単なる数字の管理ではなく、戦略的な目標管理を可能にする鍵です。
分解せずにいきなりKPIを現場に押し付けても、メンバーは何をすればいいか迷ってしまうだけです。
KGIを構成要素に分解する(売上=単価×件数など)
KGIを分解する際の基本は売上=客単価 × 顧客数や顧客数=新規顧客数 + リピート顧客数といった具体的な算式(要素分解)を用いることです。 例えば、KGIがWebサイト経由の売上を200万円にするであれば、売上=コンバージョン単価 × コンバージョン件数に分解します。
さらにコンバージョン件数をWebサイト訪問者数 × コンバージョン率(CVR)に分解していくことで、最終的に日々の行動につながるKPI(訪問者数、CVRなど)が生まれます。 このプロセスにより、目標達成のボトルネック(例えば、訪問者数は多いがCVRが低いなど)を特定できます。
KSFに基づき測定対象を絞り込む
KGIを細かく分解した結果、多数の指標が生まれますが、すべてをKPIにする必要はありません。前述したKSF(重要成功要因)として特定された要素に焦点を当て、関連性の薄い指標をKPIから除外することが極めて重要です。
たとえば、リピート購入率の向上がKSFであるならば、新規顧客の獲得数をKPIから外し、既存顧客へのメールマガジン開封率をKPIに設定すべきです。KPIは少数精鋭に絞り込まなければ、リソースが分散し、本来注力すべき行動がおろそかになり、結果として誰にも追跡されない無駄な数字になってしまいます。
失敗しないKPI設定

実効性の高いKPIを設定するには目標を具体化するSMART原則に従うことが不可欠です。
KPIは設定したら終わりではなく必ず測定・分析・改善というPDCAサイクルに組み込むことで、初めて組織の業績向上に貢献する強力なツールとなります。目標設定の曖昧さや、実現不可能な数値は、KPI運用の失敗に直結します。
実効性の高いKPIを設定するためのSMART原則
KPIを単なる願望や抽象的なスローガンで終わらせないために、ビジネスの世界で広く使われているフレームワークがSMART原則です。この原則に従ってKPIを設定すれば、誰でも明確で追跡しやすい、行動に直結する目標を生み出すことができます。
この原則が守られていないKPIは、社員を混乱させるだけのダメな目標になりがちです。
SMART原則を構成する5つの要素
KPIの設定に広く使われるSMART原則とは、以下の5つの要素の頭文字を取ったものです。これらは単なるチェックリストではなく、目標設定の精度を高めるためのフィルターです。
- 因果関係の確認: KPIがKGIに本当に繋がっているか?
- 実行可能性の確認: 目標達成のためのリソースは十分か?
- 測定精度の確認: KPIの数値が正確に集計できているか?
この3つの視点を持つことでKPIが悪いのか、それとも施策が悪いのかを切り分けられるようになります。
KSFとKPIの因果関係が論理的に正しいか
設定したKPIとKGIの間に論理的な繋がり(因果関係)があるかを再確認します。KPIが達成されたのにKGIが未達成に終わった場合、KSF(成功要因)の特定自体が間違っていた可能性が高いと言えます。
たとえば、WebサイトのPV数というKPIは達成したが売上が伸びなかった場合、本来のKSFがPV数ではなく特定の層からの高品質な問い合わせ件数であった可能性を疑い、市場や競合の分析に基づいた根本的な見直しが必要です。
目標数値がストレッチ目標になっていないか
KPIの目標値は頑張れば達成できるレベルに設定されている必要があります。非現実的に高すぎる目標(ストレッチ目標)は現場の士気を下げ、かえって指標の形骸化を招きます。目標が達成困難な状態が続くと、メンバーはKPIを無視し始めるという組織心理学的な現象が起こります。
目標が達成困難な場合は目標数値を現実的に引き下げるか、または目標達成のためのリソース(予算、人員、ツール)を確保するか、中間KPIをさらに細かく分解し、小さな成功体験を積み重ねられるように調整すべきです。
よくある質問
Q1. KPIとKGIはいくつ設定すべきですか
KGIは原則として一つに絞るべきです。なぜなら、ゴールが複数あると組織の注力すべき方向が分散してしまうからです。
KPIはKGI達成に必要なKSFの数に応じて設定しますが、多すぎても管理が煩雑になるため、3〜5個程度に絞り込むのが一般的です。少数精鋭で運用することが、全員が同じ方向を向くための成功の鍵となります。
Q2. KPIに設定すべき指標は結果ですか行動ですか
どちらも設定すべきです。 KGIに近い上位のKPIは結果(例:WebサイトのCVR)を、現場の個人レベルのKPIは行動(例:新規顧客への架電件数)を設定します。
行動KPIはメンバーが日々コントロールできるためモチベーション維持に繋がり、結果KPIは施策の有効性を評価するために役立ちます。両方をバランスよく設定することで、戦略と実行の両方を管理できます。
Q3. 中小企業や個人事業主でもKPIツリーは必要ですか
規模に関わらず必要です。 特にリソースが限られている中小企業や個人事業主こそ、無駄な行動を避け、最短距離で目標を達成するためにKPIツリーが有効です。
KPIツリーは限られた時間や予算を、最も成功に繋がる行動(KSF)に集中投下するための設計図として機能し、事業の効率性を劇的に高めることができます。
まとめ
KPIは、最終目標(KGI)と、それを達成するための鍵となる成功要因(KSF)に基づき、日々の行動を管理するための不可欠な指標です。KGI、KSF、KPIの関係性をロジカルなKPIツリーとして構築し、SMART原則に従って具体的かつ測定可能な目標を設定することで、組織の行動は劇的に変わります。
もし、会社でKPIがうまく機能していないと感じるなら、まずはKGIからKPIへの分解プロセスが論理的に正しいか、そしてKSFの特定が間違っていないかを再確認してください。明日からすぐに、現状のKGIを分解し、行動に直結するSMARTなKPIを3つに絞り込むことから始めてみましょう。
参考文献
- KSFとは?KGI・KPIとの関係と具体例、設定方法を解説 - Salesforceブログ
- 経営改善・事業再生支援事例集を発刊しました (METI/経済産業省)
- KPIツリーとは?【分解の仕方】作り方、KGI・KPIの具体例 - カオナビ人事用語集
- 因果関係の確認: KPIがKGIに本当に繋がっているか?
- 実行可能性の確認: 目標達成のためのリソースは十分か?
- 測定精度の確認: KPIの数値が正確に集計できているか?
この3つの視点を持つことでKPIが悪いのか、それとも施策が悪いのかを切り分けられるようになります。
KSFとKPIの因果関係が論理的に正しいか
設定したKPIとKGIの間に論理的な繋がり(因果関係)があるかを再確認します。KPIが達成されたのにKGIが未達成に終わった場合、KSF(成功要因)の特定自体が間違っていた可能性が高いと言えます。
たとえば、WebサイトのPV数というKPIは達成したが売上が伸びなかった場合、本来のKSFがPV数ではなく特定の層からの高品質な問い合わせ件数であった可能性を疑い、市場や競合の分析に基づいた根本的な見直しが必要です。
目標数値がストレッチ目標になっていないか
KPIの目標値は頑張れば達成できるレベルに設定されている必要があります。非現実的に高すぎる目標(ストレッチ目標)は現場の士気を下げ、かえって指標の形骸化を招きます。目標が達成困難な状態が続くと、メンバーはKPIを無視し始めるという組織心理学的な現象が起こります。
目標が達成困難な場合は目標数値を現実的に引き下げるか、または目標達成のためのリソース(予算、人員、ツール)を確保するか、中間KPIをさらに細かく分解し、小さな成功体験を積み重ねられるように調整すべきです。
よくある質問
Q1. KPIとKGIはいくつ設定すべきですか
KGIは原則として一つに絞るべきです。なぜなら、ゴールが複数あると組織の注力すべき方向が分散してしまうからです。
KPIはKGI達成に必要なKSFの数に応じて設定しますが、多すぎても管理が煩雑になるため、3〜5個程度に絞り込むのが一般的です。少数精鋭で運用することが、全員が同じ方向を向くための成功の鍵となります。
Q2. KPIに設定すべき指標は結果ですか行動ですか
どちらも設定すべきです。 KGIに近い上位のKPIは結果(例:WebサイトのCVR)を、現場の個人レベルのKPIは行動(例:新規顧客への架電件数)を設定します。
行動KPIはメンバーが日々コントロールできるためモチベーション維持に繋がり、結果KPIは施策の有効性を評価するために役立ちます。両方をバランスよく設定することで、戦略と実行の両方を管理できます。
Q3. 中小企業や個人事業主でもKPIツリーは必要ですか
規模に関わらず必要です。 特にリソースが限られている中小企業や個人事業主こそ、無駄な行動を避け、最短距離で目標を達成するためにKPIツリーが有効です。
KPIツリーは限られた時間や予算を、最も成功に繋がる行動(KSF)に集中投下するための設計図として機能し、事業の効率性を劇的に高めることができます。
まとめ
KPIは、最終目標(KGI)と、それを達成するための鍵となる成功要因(KSF)に基づき、日々の行動を管理するための不可欠な指標です。KGI、KSF、KPIの関係性をロジカルなKPIツリーとして構築し、SMART原則に従って具体的かつ測定可能な目標を設定することで、組織の行動は劇的に変わります。
もし、会社でKPIがうまく機能していないと感じるなら、まずはKGIからKPIへの分解プロセスが論理的に正しいか、そしてKSFの特定が間違っていないかを再確認してください。明日からすぐに、現状のKGIを分解し、行動に直結するSMARTなKPIを3つに絞り込むことから始めてみましょう。
参考文献
- KSFとは?KGI・KPIとの関係と具体例、設定方法を解説 - Salesforceブログ
- 経営改善・事業再生支援事例集を発刊しました (METI/経済産業省)
- KPIツリーとは?【分解の仕方】作り方、KGI・KPIの具体例 - カオナビ人事用語集
- Specific (具体的に):誰が見てもわかる明確な内容か。頑張るではなく〇〇を達成すると定義します。
- Measurable (測定可能に):数値で結果を追跡できるか。なんとなくではなく80%といった具体的な数値目標を設定します。
- Achievable (達成可能に):実現可能なレベルの目標か。高すぎても低すぎてもモチベーションを失います。
- Relevant (関連性):KGI達成に直接貢献するか。他のKPIとの因果関係が明確である必要があります。
- Time-bound (期限):いつまでに達成するか期限が明確か。いつかではなく今月末までにといった期限を設定します。
良いKPIと悪いKPIの比較事例
SMART原則を踏まえると良いKPIと悪いKPIの違いが明確になります。悪いKPIは抽象的で測定も難しく、結果として現場は何をすべきかわからなくなります。
【表】KPIの良し悪しの比較
| 指標 | 評価対象 | 目的 | 理想的な利用場面 |
|---|---|---|---|
| 目標 | 顧客満足度の向上 | 3ヶ月以内に、顧客アンケートのサービス評価:満足以上の割合を80%に向上させる | 期限(3ヶ月)と測定可能な数値(80%)が明確で、行動につながる |
| 行動 | 積極的に電話する | 1日あたり新規見込み客へ30件以上の架電を達成する | 測定が容易で、日々の努力量(行動量)が可視化される |
KPIが機能しない場合のチェックポイント
KPIを設定し、運用を始めたもののなんとなく数字が動かないみんなKPIを見ていないといった形で形骸化してしまうケースは非常に多いものです。KPIが機能しない最大の原因はKSF(重要成功要因)の見誤りや、目標値が現実離れしていることにあります。
KPI運用が形骸化していると感じたら、まずはそのKPIが本当にKGIに繋がっているかという因果関係を疑い、現場の行動データと突き合わせる見直しが必要です。
機能しないKPIを見直すための3つの視点
KPIの運用がうまく回らない場合、闇雲に目標達成を訴える前にKPIツリー自体に問題がないかをロジカルにチェックする必要があります。
- 因果関係の確認: KPIがKGIに本当に繋がっているか?
- 実行可能性の確認: 目標達成のためのリソースは十分か?
- 測定精度の確認: KPIの数値が正確に集計できているか?
この3つの視点を持つことでKPIが悪いのか、それとも施策が悪いのかを切り分けられるようになります。
KSFとKPIの因果関係が論理的に正しいか
設定したKPIとKGIの間に論理的な繋がり(因果関係)があるかを再確認します。KPIが達成されたのにKGIが未達成に終わった場合、KSF(成功要因)の特定自体が間違っていた可能性が高いと言えます。
たとえば、WebサイトのPV数というKPIは達成したが売上が伸びなかった場合、本来のKSFがPV数ではなく特定の層からの高品質な問い合わせ件数であった可能性を疑い、市場や競合の分析に基づいた根本的な見直しが必要です。
目標数値がストレッチ目標になっていないか
KPIの目標値は頑張れば達成できるレベルに設定されている必要があります。非現実的に高すぎる目標(ストレッチ目標)は現場の士気を下げ、かえって指標の形骸化を招きます。目標が達成困難な状態が続くと、メンバーはKPIを無視し始めるという組織心理学的な現象が起こります。
目標が達成困難な場合は目標数値を現実的に引き下げるか、または目標達成のためのリソース(予算、人員、ツール)を確保するか、中間KPIをさらに細かく分解し、小さな成功体験を積み重ねられるように調整すべきです。
よくある質問
Q1. KPIとKGIはいくつ設定すべきですか
KGIは原則として一つに絞るべきです。なぜなら、ゴールが複数あると組織の注力すべき方向が分散してしまうからです。
KPIはKGI達成に必要なKSFの数に応じて設定しますが、多すぎても管理が煩雑になるため、3〜5個程度に絞り込むのが一般的です。少数精鋭で運用することが、全員が同じ方向を向くための成功の鍵となります。
Q2. KPIに設定すべき指標は結果ですか行動ですか
どちらも設定すべきです。 KGIに近い上位のKPIは結果(例:WebサイトのCVR)を、現場の個人レベルのKPIは行動(例:新規顧客への架電件数)を設定します。
行動KPIはメンバーが日々コントロールできるためモチベーション維持に繋がり、結果KPIは施策の有効性を評価するために役立ちます。両方をバランスよく設定することで、戦略と実行の両方を管理できます。
Q3. 中小企業や個人事業主でもKPIツリーは必要ですか
規模に関わらず必要です。 特にリソースが限られている中小企業や個人事業主こそ、無駄な行動を避け、最短距離で目標を達成するためにKPIツリーが有効です。
KPIツリーは限られた時間や予算を、最も成功に繋がる行動(KSF)に集中投下するための設計図として機能し、事業の効率性を劇的に高めることができます。
まとめ
KPIは、最終目標(KGI)と、それを達成するための鍵となる成功要因(KSF)に基づき、日々の行動を管理するための不可欠な指標です。KGI、KSF、KPIの関係性をロジカルなKPIツリーとして構築し、SMART原則に従って具体的かつ測定可能な目標を設定することで、組織の行動は劇的に変わります。
もし、会社でKPIがうまく機能していないと感じるなら、まずはKGIからKPIへの分解プロセスが論理的に正しいか、そしてKSFの特定が間違っていないかを再確認してください。明日からすぐに、現状のKGIを分解し、行動に直結するSMARTなKPIを3つに絞り込むことから始めてみましょう。
参考文献
- KSFとは?KGI・KPIとの関係と具体例、設定方法を解説 - Salesforceブログ
- 経営改善・事業再生支援事例集を発刊しました (METI/経済産業省)
- KPIツリーとは?【分解の仕方】作り方、KGI・KPIの具体例 - カオナビ人事用語集
- Specific (具体的に):誰が見てもわかる明確な内容か。頑張るではなく〇〇を達成すると定義します。
- Measurable (測定可能に):数値で結果を追跡できるか。なんとなくではなく80%といった具体的な数値目標を設定します。
- Achievable (達成可能に):実現可能なレベルの目標か。高すぎても低すぎてもモチベーションを失います。
- Relevant (関連性):KGI達成に直接貢献するか。他のKPIとの因果関係が明確である必要があります。
- Time-bound (期限):いつまでに達成するか期限が明確か。いつかではなく今月末までにといった期限を設定します。
良いKPIと悪いKPIの比較事例
SMART原則を踏まえると良いKPIと悪いKPIの違いが明確になります。悪いKPIは抽象的で測定も難しく、結果として現場は何をすべきかわからなくなります。
【表】KPIの良し悪しの比較
| 指標 | 評価対象 | 目的 | 理想的な利用場面 |
|---|---|---|---|
| 目標 | 顧客満足度の向上 | 3ヶ月以内に、顧客アンケートのサービス評価:満足以上の割合を80%に向上させる | 期限(3ヶ月)と測定可能な数値(80%)が明確で、行動につながる |
| 行動 | 積極的に電話する | 1日あたり新規見込み客へ30件以上の架電を達成する | 測定が容易で、日々の努力量(行動量)が可視化される |
KPIが機能しない場合のチェックポイント
KPIを設定し、運用を始めたもののなんとなく数字が動かないみんなKPIを見ていないといった形で形骸化してしまうケースは非常に多いものです。KPIが機能しない最大の原因はKSF(重要成功要因)の見誤りや、目標値が現実離れしていることにあります。
KPI運用が形骸化していると感じたら、まずはそのKPIが本当にKGIに繋がっているかという因果関係を疑い、現場の行動データと突き合わせる見直しが必要です。
機能しないKPIを見直すための3つの視点
KPIの運用がうまく回らない場合、闇雲に目標達成を訴える前にKPIツリー自体に問題がないかをロジカルにチェックする必要があります。
- 因果関係の確認: KPIがKGIに本当に繋がっているか?
- 実行可能性の確認: 目標達成のためのリソースは十分か?
- 測定精度の確認: KPIの数値が正確に集計できているか?
この3つの視点を持つことでKPIが悪いのか、それとも施策が悪いのかを切り分けられるようになります。
KSFとKPIの因果関係が論理的に正しいか
設定したKPIとKGIの間に論理的な繋がり(因果関係)があるかを再確認します。KPIが達成されたのにKGIが未達成に終わった場合、KSF(成功要因)の特定自体が間違っていた可能性が高いと言えます。
たとえば、WebサイトのPV数というKPIは達成したが売上が伸びなかった場合、本来のKSFがPV数ではなく特定の層からの高品質な問い合わせ件数であった可能性を疑い、市場や競合の分析に基づいた根本的な見直しが必要です。
目標数値がストレッチ目標になっていないか
KPIの目標値は頑張れば達成できるレベルに設定されている必要があります。非現実的に高すぎる目標(ストレッチ目標)は現場の士気を下げ、かえって指標の形骸化を招きます。目標が達成困難な状態が続くと、メンバーはKPIを無視し始めるという組織心理学的な現象が起こります。
目標が達成困難な場合は目標数値を現実的に引き下げるか、または目標達成のためのリソース(予算、人員、ツール)を確保するか、中間KPIをさらに細かく分解し、小さな成功体験を積み重ねられるように調整すべきです。
よくある質問
Q1. KPIとKGIはいくつ設定すべきですか
KGIは原則として一つに絞るべきです。なぜなら、ゴールが複数あると組織の注力すべき方向が分散してしまうからです。
KPIはKGI達成に必要なKSFの数に応じて設定しますが、多すぎても管理が煩雑になるため、3〜5個程度に絞り込むのが一般的です。少数精鋭で運用することが、全員が同じ方向を向くための成功の鍵となります。
Q2. KPIに設定すべき指標は結果ですか行動ですか
どちらも設定すべきです。 KGIに近い上位のKPIは結果(例:WebサイトのCVR)を、現場の個人レベルのKPIは行動(例:新規顧客への架電件数)を設定します。
行動KPIはメンバーが日々コントロールできるためモチベーション維持に繋がり、結果KPIは施策の有効性を評価するために役立ちます。両方をバランスよく設定することで、戦略と実行の両方を管理できます。
Q3. 中小企業や個人事業主でもKPIツリーは必要ですか
規模に関わらず必要です。 特にリソースが限られている中小企業や個人事業主こそ、無駄な行動を避け、最短距離で目標を達成するためにKPIツリーが有効です。
KPIツリーは限られた時間や予算を、最も成功に繋がる行動(KSF)に集中投下するための設計図として機能し、事業の効率性を劇的に高めることができます。
まとめ
KPIは、最終目標(KGI)と、それを達成するための鍵となる成功要因(KSF)に基づき、日々の行動を管理するための不可欠な指標です。KGI、KSF、KPIの関係性をロジカルなKPIツリーとして構築し、SMART原則に従って具体的かつ測定可能な目標を設定することで、組織の行動は劇的に変わります。
もし、会社でKPIがうまく機能していないと感じるなら、まずはKGIからKPIへの分解プロセスが論理的に正しいか、そしてKSFの特定が間違っていないかを再確認してください。明日からすぐに、現状のKGIを分解し、行動に直結するSMARTなKPIを3つに絞り込むことから始めてみましょう。
参考文献
- KSFとは?KGI・KPIとの関係と具体例、設定方法を解説 - Salesforceブログ
- 経営改善・事業再生支援事例集を発刊しました (METI/経済産業省)
- KPIツリーとは?【分解の仕方】作り方、KGI・KPIの具体例 - カオナビ人事用語集
この記事を書いた人
- 記事の執筆は、Webマーケティング歴10年以上の専門家3名と、Webデザイナー歴15年の経験豊富なメンバーが所属するHATAORI運営事務局が担当しています。Webマーケティングとデザインの両面から、実践的かつ最新の情報をお届けします。神奈川県秦野市を拠点に、実務経験に裏打ちされた多角的な視点で、貴社のWeb集客を力強くサポートいたします。
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