ページの表示速度を改善する10の方法を解説

ページの表示速度を改善する10の方法を解説

ページ読み込み速度の改善は、Webサイトのパフォーマンスを高めるうえで非常に重要な課題です。

検索エンジンの評価基準でもあり、ユーザー体験にも直結するため、サイト運営者であれば誰しもが向き合うべきテーマです。

本記事では、表示速度の重要性やその理由を明確にしたうえで、具体的な改善策を10項目にわたって詳しく解説します。


目次

ページの読み込みスピードとは

ページの読み込みスピードとは

ページの読み込みスピードとは、ユーザーがWebページにアクセスしたときに、コンテンツが表示されるまでにかかる時間のことを指します。

この速度は、訪問者の離脱率や検索順位、さらにはコンバージョン率にも影響を与えるため、あらゆるWebサイトにおいて最適化が求められます。

本章では、なぜ表示速度が重要なのか、その理由を3つの観点から解説します。

ページ速度改善が重要な理由

ページの読み込みが遅いと、それだけでユーザーはストレスを感じてしまいます。

たとえば、ECサイトで商品を購入しようとしたとき、ページがなかなか表示されないとユーザーはすぐに離脱してしまうでしょう。そのため、読み込み速度はユーザーの満足度を左右する要因となります。

また、GoogleはページスピードをSEOのランキング要因として組み込んでおり、遅いページは検索結果の順位が下がる傾向があります。

これにより、アクセス数や売上の減少につながるケースもあります。では、具体的にどのような影響があるのでしょうか。

ユーザーの直帰率低下に繋がる

読み込み速度が遅いサイトでは、ユーザーが最初の数秒で離れてしまう傾向があります。

特にスマートフォンでの閲覧が多い現在、3秒以上表示にかかると半数以上のユーザーが離脱するとも言われています。

これはユーザーがストレスを感じるだけでなく、「このサイトは信用できない」という印象を与えてしまう可能性もあるため、早急な対策が必要です。

SEO対策に直接影響する

Googleは「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」を指標に、サイトの表示速度やユーザー体験を評価しています。

たとえば「Largest Contentful Paint(LCP)」では、主要コンテンツの表示時間が2.5秒以下であることが理想とされています。

こうした速度指標が満たされていないと、検索順位にマイナスの影響を与えることになります。

コンバージョン率の向上が期待できる

ページ速度は、売上やお問い合わせの数に直結する重要な要素です。

たとえば、表示速度が1秒遅くなるだけでコンバージョン率が7%下がるという調査結果もあります。

特にECサイトやランディングページでは、読み込みの速さがユーザーの購入意欲に直接影響を与えるため、速度改善によって売上向上が期待できます。

表示速度を改善する10の具体的な方法

表示速度を改善する10の具体的な方法

ここでは、ページの表示速度を改善するための10の具体的な手法を紹介します。

これらの方法は、初級者でも取り組みやすい内容から、中級者向けの技術的な改善まで幅広く網羅しています。

  1. HTML・CSS・JavaScriptの軽量化
  2. 画像サイズや容量の最適化
  3. キャッシュの有効活用
  4. CDN(コンテンツ配信ネットワーク)の導入
  5. サーバーのレスポンスを改善する
  6. フォントの読み込み最適化
  7. プラグインの見直し(WordPress)
  8. サードパーティ製スクリプトの最適化
  9. 不要なリダイレクトの削除
  10. ページスピード診断ツールの活用

次項からは、これらの方法について1つずつ具体的に解説していきます。

「なぜ必要か」「どうやって実施するか」を中心に、実例を交えながら説明していきます。


HTML・CSS・JavaScriptの軽量化を行う

Webページの構造を構成するHTMLやCSS、JavaScriptは、量が多くなるほど表示速度に影響を及ぼします。

とくにJavaScriptの読み込み順やファイルサイズが適切でない場合、ユーザーがページを開くまでに時間がかかる原因になります。

軽量化とは、これらのコードを最適化し、無駄を削減して読み込み速度を向上させる作業です。

たとえば、不要なCSSスタイルを削除する、JavaScriptを非同期で読み込む、圧縮処理を行うといった方法があります。

以下でそれぞれの具体的手法を見ていきましょう。

不要なコードの削除

まず見直すべきなのは、実際に使っていないCSSやJavaScriptコードです。

テンプレートテーマやプラグインを多用している場合、意図せず不要なコードが追加されていることがあります。

こうしたコードは読み込みを遅くするだけでなく、保守性も低下させてしまいます。

具体的には、開発者ツールで「未使用のCSS」や「未実行のJavaScript」を調査し、コードの削除または分割を検討します。

使用頻度の低いCSSは、インラインではなく外部ファイル化することで、ページごとの最適化も可能です。

minify(圧縮)処理

minifyとは、HTML・CSS・JavaScriptなどのファイルから不要な空白や改行、コメントなどを取り除いて、ファイルサイズを圧縮する処理です。

圧縮されたファイルは読み込みが速くなり、結果として表示速度が向上します。

たとえば、WordPressでは「Autoptimize」や「WP Super Minify」などのプラグインを利用することで、簡単にminify処理が行えます。

開発環境では「gulp」や「webpack」などのビルドツールを使って自動化するのも有効です。

非同期読み込み(async/defer)

JavaScriptの読み込みを非同期に設定することで、HTMLの解析と並行して読み込みを進めることができます。

これにより、スクリプトの実行がレンダリングの妨げにならず、ページの表示速度が大幅に向上します。

たとえば、スクリプトタグに asyncdefer 属性を追加することで、非同期読み込みが可能になります。

async はすぐに読み込んで実行し、defer はHTMLの解析が完了した後にまとめて実行されるという違いがあります。状況に応じて使い分けると効果的です。

画像サイズや容量の最適化を行う

画像サイズや容量の最適化を行う

Webページに掲載する画像のサイズや容量は、表示速度に大きな影響を与える要因のひとつです。

画像のファイルサイズが大きすぎると、読み込みに時間がかかり、結果としてユーザー体験が損なわれてしまいます。

このセクションでは、画像の最適化方法について3つの観点から解説します。

次世代フォーマット(WebP / AVIF)を使用する

従来のJPEGやPNGよりもファイルサイズを大幅に削減できる次世代フォーマットであるWebPやAVIFを使うことで、画像表示の高速化が可能です。

これらのフォーマットは、画質をほとんど損なわずに容量を小さくできるのが特徴です。

たとえば、同じ画像をJPEGとWebPで保存した場合、WebPは30%〜50%もファイルサイズを軽減できます。

WordPressユーザーであれば、画像最適化プラグイン(例:EWWW Image OptimizerやShortPixel)を使うことで、アップロード時に自動でWebP変換が可能になります。

Lazy Load(遅延読み込み)を導入する

Lazy Loadとは、ユーザーがページをスクロールして画像が表示範囲に入った時点で画像を読み込む技術です。

ページの最初の読み込み時点で全画像を読み込まないため、初速の表示速度が大幅に改善されます。

たとえば、ブログ記事内に20枚以上の画像がある場合でも、Lazy Loadを導入すれば、最初に表示される画像以外はスクロールするまで読み込まれません。

WordPressでは「Lazy Load」機能がすでに標準で有効化されていることが多いですが、カスタムテーマを使用している場合は確認が必要です。

画像圧縮ツールの活用

画像をアップロードする前に、画像圧縮ツールを使ってファイルサイズを縮小することで、読み込み速度を改善できます。

オンラインツールであれば「TinyPNG」や「ImageOptim」、アプリケーションなら「Photoshop」の「保存形式」設定が有効です。

圧縮によって画質を維持しつつも無駄な情報を削除することができ、ページ全体の読み込み負荷が軽減されます。

圧縮率はツールによって異なるため、いくつか試して最も効果的な方法を選ぶのがポイントです。

キャッシュを有効活用する

サーバーのレスポンスを改善する

Webページのキャッシュは、ユーザーが再度ページにアクセスした際に、一部のデータを再利用することで読み込み時間を短縮する仕組みです

。これにより、ページの表示速度が格段に改善されます。

ブラウザキャッシュの設定

ブラウザキャッシュを適切に設定することで、画像・CSS・JavaScriptなどの静的ファイルをユーザーのブラウザに保存し、次回以降の読み込みを高速化できます。

.htaccess ファイルに有効期限を設定する記述を加えることで対応可能です。

サーバーキャッシュの活用

動的に生成されるページに対しては、サーバー側でHTMLをキャッシュとして保存しておくことで、サーバー負荷を軽減しつつ表示速度を向上させることができます。

WordPressでは「W3 Total Cache」や「WP Fastest Cache」などのプラグインが活用できます。

オブジェクトキャッシュ

データベースへのアクセスを減らすために、データベースクエリの結果を一時的に保存する「オブジェクトキャッシュ」も有効です。

これにより、特に大規模サイトでの速度改善に貢献します。

サーバーのレスポンスを改善する

サーバーのレスポンスを改善する

ページの読み込み速度を向上させるためには、サーバー自体のレスポンス速度も重要です。

サーバーのパフォーマンスが悪ければ、どれだけサイトを最適化しても、読み込みに時間がかかってしまいます。

ここでは、サーバーのレスポンスを改善するための方法について解説します。

PHPのバージョンを最新にする

PHPはWebサイトの多くの動的コンテンツを処理している重要な言語です。

PHPのバージョンが古いと、処理速度が遅くなったり、セキュリティのリスクが高くなったりすることがあります。

常に最新の安定したバージョンを使用することで、パフォーマンスが向上し、セキュリティ面でも安心です。

例えば、PHP 5.x系を使用している場合、PHP 7.x系やPHP 8.x系にバージョンアップするだけで、処理速度が大幅に向上します。

新しいバージョンでは、処理が効率的になり、サーバーリソースの消費が少なくなるため、レスポンス速度が改善されます。

高速Webサーバーを選ぶ

Webサーバーの種類もパフォーマンスに大きな影響を与えます。

例えば、ApacheよりもNGINXやLiteSpeedなどの高速Webサーバーの方が、より効率的にリクエストを処理することができます。

特に、NGINXは大量の同時接続に強いため、トラフィックが多いサイトに適しています。

LiteSpeedは、PHPの処理を高速化する機能を提供しており、特にWordPressサイトの表示速度を大幅に改善できます。

サーバーの性能を見直す

サーバー自体の性能も読み込み速度に大きく関わります。

もし使用しているサーバーが古いもしくは、性能が不足している場合より高性能なサーバーに変更することでパフォーマンスが向上します。

特に、レンタルサーバーや共有サーバーを使用している場合、他のユーザーとリソースを共有しているため、負荷が集中すると速度が低下する可能性があります。

これを解決するためには、専用サーバーやVPS(仮想専用サーバー)を検討するのも一つの方法です。


フォントの読み込みを最適化する

フォントの読み込みを最適化する

Webサイトのデザインで使用されるフォントも、表示速度に影響を与える要素です。

特に、外部から読み込むWebフォントは、ページ表示を遅延させる原因になります。ここでは、フォントの読み込みを最適化する方法を紹介します。

フォントの遅延読み込み

フォントを最適化する方法の一つは、「遅延読み込み」です。

遅延読み込みとは、ページが表示された後に、フォントを非同期で読み込む手法です。

これにより、ページが最初に表示される際に、フォントファイルが読み込まれないため、ページの表示が速くなります。

一般的には、font-display: swapというCSSプロパティを使用して、文字がフォントを読み込むまでシステムフォントで表示されるように設定します。

使用するフォントを限定する

Webフォントを使うときは、できるだけ必要最小限のフォントを使用しましょう。

例えば、全てのページで同じフォントを使用するか、複数のフォントを組み合わせて使う場合でも、必要な文字セットだけを読み込むように設定することが重要です。

日本語のサイトであれば、英数字のみのフォントセットと日本語を含むフォントセットを分けて設定することで読み込むデータ量を削減できます。

使用しているプラグインを見直す(WordPress向け)

使用しているプラグインを見直す(WordPress向け)

WordPressのサイトではプラグインは非常に便利な機能ですが、プラグインを多く利用するとWebサイトのパフォーマンスが低下する場合があります。

特に、不要なプラグインをそのまま放置しておくと、無駄にリソースを消費し表示速度に悪影響を与えることもあります。

したがって、プラグインを見直して不要なものは削除することが非常に重要です。

不要なプラグインを削除

プラグインの管理は定期的に行うべき作業の一つです。

特にプラグインの機能が重複していたり、もはや使用していないプラグインがある場合、これらはすぐに削除しましょう。

使用していないプラグインが残っていると、無駄にデータベースへのアクセスが発生したりサーバーリソースを消費したりします。

例えば、SEOプラグインやキャッシュプラグインが重複している場合、これらは整理して一つに統一するとよいでしょう。

軽量な代替プラグインに切り替え

同じ機能を提供するプラグインでも、軽量なものを選ぶことがパフォーマンス向上に繋がります。

例えば、SEO関連のプラグインでは「Yoast SEO」や「Rank Math」などが人気ですが、それでもサイトに必要な最小限の設定だけを有効にし、必要な機能だけを使うようにすることが大切です。

また、キャッシュプラグインでは「WP Super Cache」や「W3 Total Cache」が有名ですが、どちらもパフォーマンスに違いがありますので、軽量で効果的なものを選んで活用しましょう。


サードパーティ製スクリプトを最適化する

サードパーティ製スクリプトを最適化する

サードパーティ製のスクリプト(例えば、広告ネットワークや分析ツール、ソーシャルメディアの埋め込みなど)は、サイトのパフォーマンスに大きな影響を与えることがあります。

これらのスクリプトがページ読み込み時に遅延を引き起こすため、必要なスクリプトのみを読み込むように最適化することが求められます。

読み込みを遅延させる

サードパーティ製のスクリプトは、ページが表示される前にすべて読み込まなくても問題ない場合があります。

特に、広告関連のスクリプトやソーシャルメディアの埋め込みコードなど、即時に表示する必要がないものは、遅延読み込み(Lazy Load)を活用することで、ページの初期表示速度を改善できます。

この方法では、ページが読み込まれるときに必要なスクリプトのみを優先的に読み込んで、残りは後から読み込む仕組みを作ります。

使用するサービスを必要最低限に絞る

サードパーティのスクリプトは、便利な反面、過剰に導入すると表示速度を大きく遅らせる原因となります。

たとえば、外部の分析ツールやソーシャルメディアのシェアボタン、コメント機能などを全て組み込んでしまうと、読み込み時間が長くなり、サイトのパフォーマンスが低下します。

したがって、サイトの目的に最も必要なスクリプトだけを導入し、不要なものは削除するようにしましょう。


不要なリダイレクトを削除する

不要なリダイレクトを削除する

リダイレクトは、特にサイトの構造を変更したり、ページのURLを変更した際に行うことがあります。

しかし、リダイレクトが多くなると、Webページの表示に時間がかかり、読み込み速度が遅くなる可能性があります。

特に、リダイレクトチェーンが発生している場合、ユーザーが目的のページに到達するまでに余分なステップを踏まされることになり、速度の低下を引き起こします。

リダイレクトチェーンの確認

リダイレクトチェーンとは、1つのリダイレクトがさらに別のリダイレクトを引き起こす状態を指します。

これにより、ユーザーが最終的に到達するページまでのロード時間が増加します。

リダイレクトチェーンはできるだけ最小限に抑えるようにし、可能であればリダイレクトの回数を減らすようにしましょう。

リダイレクトチェーンを発生させる原因としては、URLの変更やHTTPSの導入時に多く見られます。

HTTPS(SSL化)やwwwの統一を一度のリダイレクトで完了させる

HTTPSへの移行やwwwと非wwwの統一を行う場合、できるだけ一度のリダイレクトで完了させることが重要です。

複数のリダイレクトを使わないように設定することで、サイトへのアクセス時間を短縮できます。

また、リダイレクトの実装には301リダイレクトを使用して、検索エンジンにも適切に伝えることが大切です。


ページスピード診断ツールを活用する

ページスピード診断ツールを活用する

ページ速度の改善を進めるうえで、実際にどの部分が遅いのかを把握することが非常に重要です。

そこで活用したいのが、ページスピード診断ツールです。

これらのツールを使用することで、サイトのパフォーマンスを数値で評価し、改善すべき具体的な項目を洗い出すことができます。

Google PageSpeed Insights

Googleが提供する「PageSpeed Insights」は、サイトのパフォーマンスを評価するための無料ツールです。

このツールでは、ページが表示されるまでの時間を測定し、PC版とモバイル版の両方でパフォーマンススコアを提供します。

さらに、改善すべきポイントについても詳しく解説してくれますので、具体的な対策を講じるうえで非常に役立ちます。

Lighthouse(Chrome DevTools)

Lighthouseは、GoogleのChromeブラウザに組み込まれている開発者向けツールの一部です。

これを使うことで、サイトのパフォーマンス、SEO、アクセシビリティ、ベストプラクティスに関する詳細なレポートを得ることができます。

特に、パフォーマンスに関しては「Largest Contentful Paint(LCP)」や「First Contentful Paint(FCP)」など、細かな指標を確認できるため、ページ速度の改善に直結します。

GTmetrix

GTmetrixは、ページ速度を評価し、ロード時間の遅延原因を特定するためのオンラインツールです。

サイトが遅い場合、GTmetrixで測定することで、どのリソースがボトルネックになっているかを知ることができます。

特に、サイトのパフォーマンスを可視化できる点が魅力で、改善に向けた具体的な提案も受けられます。

WebPageTest

WebPageTestは、ウェブページのロード時間を複数の異なるブラウザやデバイスからテストできるツールです。

これにより、実際のユーザーがどのような体験をしているかをシミュレーションできます。

また、テスト結果に基づいて、どこにボトルネックがあるのかを視覚的に確認できます。


まとめ

ページ速度を改善するためには、さまざまな技術的な方法を組み合わせて対応することが求められます。

本記事で紹介した方法を実践することで、確実にサイトのパフォーマンスを向上させることができます。

ユーザー体験の向上、SEOの改善、コンバージョン率の向上など、ページスピードの最適化は非常に重要な要素であることを理解し、早急に対応することをお勧めします。